【Story研修・特別版】
「木の葉ブログ」(ビジネススキル強化お役立て情報)
「新入社員研修」の話題から(2013年4月13日投稿)
既成概念は、新しい知識を学ぶ際の妨げとなる新⼊社員研修 基本編②
新⼊社員研修で最初に披露することが多いのがこのお話です。本来なら本シリーズの 1
回目に書く テーマでしたが、話題性のあるイワシに先を譲りました。さて、このお話は、コップの理論として欧⽶で 語れるものと重なりますが、カリアッパというラマ教の高僧と、財界人として活躍し、その後日本の指導 層に影響を与えた中村天風⽒が実名で登場するだけに、説得⼒が違います。
まず、アメリカに渡り、それからヨーロッパに回り、失意のうちに航路⽇本に帰る途中のエジプト で、中村天風氏はラマ教の高僧・カリアッパ師と運命の出会いを果たします。師とともにラマ教の聖地に赴いた中村天風氏ですが、死の恐怖からは逃れられません。そこで、師の教えを 今かいまかと待つのですが、師が一向に教えてくれる気配がないので焦り始めます。
必死の形相で迫る中村天風氏に、師は器に水を汲んでくるように命じます。それを持って戻ると、師は別の器にお湯を入れて持ってくるように命じました。再び中村天風氏がお湯の入った器を持って戻ると、師は「そのお湯を水が満たされた器の上から注げ」と命じたのです。そこで⽒は反論しました。「私たち⽂明国の⼈間は、そうすれば⽔もお湯もこぼれることを知っています」と。
そのとき、カリアッパ師は静かな口調でこう言ったそうです。それに対し、「わかりません」と氏。 すると師は「あなたを連れてきた翌日からでも教えたいと思ったが、あなたの頭の中には既成概念がいっぱい詰まっていて、新しい知識を注いでも間違いなくすべてを溢れさせてしまっただ ろう。いまなすべきことは、満たされた器の水をカラにすることだ」と諭したのでした。
このことを悟った中村天風氏に、師は、「今夜から勉強を始めよう、生まれたばかりの赤ん坊のようになって来なさい」と語りかけたそうです。その⽇から2年7カ⽉、雪解けの⽔の中で座り続けるといった厳しい修⾏を経て、⽒は遂にラマ教の真髄を会得することとなり、⽇本⼈としてただ一人のヨガの直伝者となったのです。帰国後の氏のご活躍は冒頭に記した通りです。
●研修開始時にこのお話をすると、どの会社さんでも、ほとんどの新入社員がうつむき加減だった顔を上げ、これまでとは違った表情を⾒せてくれます。誰にも既成概念に縛られて、遠回りしてきた過去があるのでしょう。⼭本の場合、新⼊社員研修は短いお付き合い(⻑くて3⽇程度)が多いのですが、カリアッパ師に導かれ、毎回充実した研修をさせていただいており ます。
参考⽂献︓『運命を拓く』(中村天風著/講談社)、『意識⾰命のすすめ』(広岡達朗著/講談社)