【Story研修・特別版】
「リーダーシップ研修」の話題から(2016年9月11日投稿)
大丈夫センサーで変化に気付く 高橋みなみさんのコミュニケーション術(4)
今回、AKB48 入り直後の高橋みなみさんがどういうタイプの女の子だったかの一端が明らかにされる箇所があります。そこから思い起こすと、周囲が認める立派なAKB の総監督は、弱かった自分を徐々に克服し、その上で、苦しかった当時の自分を忘れることなく、後輩に思いやりを持って接してきたことがよく伝わってきます。
メンバーは若く気分の波が激しいそうですが、「今日は大丈夫だ」「今日はダメだ」の気分のバロメーターは挨拶したときのテンションでわかるそうです。その変化に気付いた後は、その子が「話を聞いてほしい」「気付いてほしい」と思っているのか、「今は触れないで」「今はそっとしておいて」と思っているのかで対応を変えたそうです。しかし、何れの場合も声がけには難しい判断が伴うのだとか。それは「大丈夫?」と口にして、心に触れてしまったなら、その人とガツンと関わらなければならなくなるからです。関わることには労力を伴い、また、人の感情に揺さぶられやすい性格の高橋さんにとっては、とても勇気のいることでした。
でも、「大丈夫?」の一言が、相手の心を軽くすることも確かです。悩んでいる子は、目立つ場所は避け、楽屋の隅っこでひとり塞ぎ込んでいたりしますが、そんな自分に気付いてくれたら嬉しい(かつての高橋さんがそうだった)だろうと思い、邪魔者扱いされる怖さがあっても、声をかけるかどうか迷ったら言う! を貫いてきたそうです。
高橋さんは立場上、悩みを相談されることが多かったそうです。でも、「こうしたほうがいいよ」という言い方は絶対しませんでした。そうしたアドバイスは、可能性を広げもするけれど、狭めもすると思ったからでした。このため彼女は、「こういうこともあるんじゃない?」と、選択肢をひとつ増やしてあげる表現を心がけたそうです。
若いメンバーは結局、アドバイスが欲しいと言いながらも、自分の話しを聞いてほしいだけなんだと気付いた時から、高橋さんは〝答え〟を示すよりも、〝理解〟を示すことに切り替えたそうです。そのために必要なことは、相手と目線を合わせて、悩みを一緒に共有するスタンスで応じてあげることでした。
※参考⽂献:『リーダー論』(⾼橋みなみ著/講談社/2015 年 12 月 24 日刊)