【Story研修・特別版

「非言語コミュニケーション」の話題から(2015 年 4 月 26 日投稿)

パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣 10 着のワードローブ(1)

今回紹介する本『フランス人は 10 着しか服を持たない』は、著者が学生時代にホームステイで学んだ「素敵なパリの暮らしの秘訣」を紹介したライフスタイルブログ(2008 年よりスタートし⼤反響を呼ぶ)を纏め たもの。アメリカの物質主義に踊らされている⽣活に異を唱え、美しく⼼豊かな暮らしやシックなおしゃれを 提案している。


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パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣 10 着のワードローブ(1).
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表紙カバーに書かれた素敵なメッセージ 

間⾷はせず、⾷事を存分に楽しむ。/上質な物を少しだけ持ち、⼤切に使う。/⽇常のなかに、ささやかな喜びを⾒つける。典型的なカリフォルニアガールだった著者は、フランス貴族の家にホームステイすることになる。その家を取り仕切るマダム・シックから学んだのは、毎⽇を“特別な⽇”のように⽣きること。

日常が突然、特別なものに⾒えてくる(本書の書き出し)

リビングの布張りのアームチェアで、ゆったりとくつろぎのひととき。刻みタバコの香りがふんわりと漂っている。天井まで届く窓からは、パリの街のやさしい夜風がそっと流れ込み、ゴブラン織りの美しいカーテンは優雅なひだを描いて、たっぷりと床に垂れている。 

ヴィンテージのレコードプレーヤーから聞こえてくるのは、クラシック音楽の調べ。食器はもうほとんど下げられ、ダイニングテーブルの上に残っているのは、食後のコーヒーのカップとパンくずだけ――“フロマージュの王様”カマンベールチーズを載せてみんなでぺろりと平らげた、焼きたてのバゲットのかけら。 

ムッシュー・シックは静かにパイプをくゆらせている。音楽に合わせてゆっくりと首を振っているその様子は、まるでオーケストラの指揮者みたい。息子さんはポートワインのグラスを片手に、窓辺に佇んでいる。マダム・シックはキッチンから戻ってくると、シルクのブラウスとAラインのスカートに覆っていたエプロンを外す。 

満足そうにほほえむマダム。わたし(著者)も手伝って、テーブルの上のコーヒーカップをふたりで片付ける。こうして今日も、パリで満ち足りた一日が過ぎていく――人びとが生き生きと素敵に暮らしているこの街で。 

●この文章の後に、本書タイトルとなったエピソードが綴られますのでお楽しみに。なお、ワードローブ (wardrobe)はデジタル⼤辞泉に「⾐装⼾棚」「洋服だんす」「個⼈の持ち⾐装」とありますが、本⽂で は「個人の持ち衣装」の意で使われています。

※参考⽂献︓『フランス⼈は 10 着しか服を持たない』(ジェニファー・L・スコット著/大和書房)