【Story研修・特別版】
「ビジネスマナー研修」の話題から(2015 年 3 月 12 日投稿)
ビジネスしぐさ また会いたい人になるための「江戸しぐさ」(4)
今回紹介する「ビジネスしぐさ」は、参考書籍に15のしぐさが書かれています。その中で非言語コミュニケーションと考えられるものが 7つありました。本文ではそのうちの4しぐさ(上の4つ)を紹介していますが、江戸時代にこれらのコミュニケーション手段が“しぐさ”として定着していたことは新しい発見でした。
江戸の商人は買い物に来たお客様をことばだけではなく感謝の心をこめたお愛想目つきでお迎えしました。一方、おあいにく目つきとは、せっかく来て下さったのに目指していた商品がなくて帰るお客様に対し「ご用意していなくてすみません」というお詫びの心を目つきにこめてお見送りすることです。
腕組みをしている人は、なんとなく人を寄せつけない気配が漂っています。口をへの字に結んでいると威張っているように見えます。江戸人たちは、商人が腕を組むのは衰退の印として戒めたそうです。よい店とは、すっと入ってすっと出てこられるお店のことを言いました。また、人と会っているとき、足を組むのも失礼と考えました。
“江戸しぐさ”は「あいづちしぐさ」とも言われました。話す人の目を見て、ほほえんだり、うなずいたり、今どきふうに言えば、ジャムセッションとでもいったような雰囲気で、打てば響くようにやり取りをしたそうです。“江戸しぐさ”が「商人しぐさ」「繁盛しぐさ」といわれる所以がここにあります。
見る、聴く、匂いを嗅ぐ、味わう、触れるの5つの感覚以外の、何かを直感的に感じる心の動きを六感と言います。江戸では、この六感が働かないと生きていけないといわれ、知識だけではなく感覚の働きを研ぎ澄ますことを心がけていました。ただし、六感は研ぎ澄まされた五感の働きが元になければ出てこないセンスなのです。
「のんびり」と言うと、だらだらとルーズに時間を費やしていると受け取る方もいるでしょう。しかし、この「のんきしぐさ」はそうではありません。たとえ今はうまくいってなくても、そのうち必ず……と、ものごとを陽にとらえて焦らない考え方を表しています。このしぐさのおかげで江戸市民は魂の安静が保てたのかもしれません。
※参考文献:『入門 江戸しぐさ』(越川禮子著/教育評論社)