【Story研修・特別版】
「プレゼンテーション研修」の話題から(2015年1月11日投稿)
謙虚さによる「知識を吸収する力」 黒柳徹子さんのこと(2)
以前観たことのある『世界ふしぎ発見!』では、黒柳さんの正解率が際立っていました。あまりの博学ぶりに、事前に問題をご存じではないかと錯覚するほどでした。しかし、番組をゼロから立ち上げたプロデューサー的役割と司会者を兼ねた草野仁氏の『話す力』を読んで、その理由がよくわかりました。
草野氏は、番組の目玉になるレギュラーには、他のクイズ番組には出ていないユニークな方を据えたいと考えていました。調べてみると、信じられないくらい思いがけない人が候補に挙がったのです。それが黒柳さんでした。軽妙洒脱、当意即妙、どう見てもクイズ番組にはぴったりと思われるキャラクターなのになぜ?
黒柳さんは「これまでさまざまな活動をしてきたが、歴史や地理などの知識が薄い分野もある。それが露見すると恥ずかしいからクイズ番組には出ないと決めている」とのことでした。ご本人にとって言いづらいであろうこの理由を語らせたのは、草野氏の著書のタイトルの通り「話す力」があったのと、そのお人柄なのでしょう。
再交渉に訪れた草野氏に、黒柳さんはこんな言葉で語りかけました。「あれから1週間、自分がこれまで蓄えてきた知識について検証してみました。その結果、『このまま黒柳徹子という人間の人生を終わらせてはいけない。勉強するいいチャンスだ』との結論に達した」と。しかし、番組に出演するにはひとつだけ条件があるとも・・・。
その条件とは。「1週間前に次の収録のテーマを教えてほしい」ということでした。質の高い真面目な番組を構 想していただけに想定外の申し出でしたが、草野氏は番組関係者と相談しました。その結果出演者全員に、 収録1週間前に「古代ヨーロッパ」などの次回の大まかなテーマを伝えるようにすることで問題を解決しました。
以来、黒柳さんは1週間前にテーマを伝えられると、図書館で資料を探し、あるいは事務所のスタッフに頼ん で書店で関連本を探してもらったりして、平均して毎週 5、6 冊の本を読んだそうです。「音楽家をテーマにし ます」と伝えられたときには、1週間に16冊もモーツアルト関連の本を読んだといいます。
参考文献:『話す力』(草野仁著/小学館)