【Story研修・特別版】
対象者:リーダー、管理職
コミュニケーション研修、コーチング研修、リーダーシップ研修などで活用
「目立たない京都の公立高校が、新学科創設で全国が注目する超進学校に」
『日本経済新聞』2012年11月8日「電子版この1本」に「『堀川の奇跡』京都はなぜ教育熱心かがありました。この「堀川」とは、京都市立「堀川高校」のことで、山本が、「管理職研修」や「モチベーショアップ研修」の折に、よく取り上げる事例です。現代の教育問題に一石を投じるような重いテーマですが簡単に紹介いたします。
平成13(2001)年には国公立大への合格者が浪人も含めてわずか7名だった同校は、2つの学科創設の数年後に国公立大学現役合格率日本一になり、大きな話題を集めました。決して大学受験対策に特に力を入れたわけではないのに、急激に合格者数を伸ばし、それを維持しているということで、世間の注目を集めたわけです。
平成11年、校舎の全面改築を機に創設されたのが2つの「探究科」でした。「自然探究科」では自然現象や原理、法則などについて、「人間探究科」では人間の文化や、社会、行動などについて、単に知識を増やすような教育ではなく、生徒たちがそれぞれ自ら学び、体験する場を提供したのです。このため、当初保護者から猛反発が・・・。
一年生の前半はクラス単位で、「学ぶための手法」を習得し、後半は少人数のゼミに分かれ、研究を進めます。二年生になると、一人ひとりが違うテーマで個人研究を行い、最後の研究発表会には一年生も参加、一年後の自分たちが越えるべき山の高さを実感させるのだといいます。そして三年生では、引き続き個人研究に打ち込みます。
生徒たちは三年間を通して、「自然とは何か」「人間とは何か」を徹底的に学ぶことにより、生徒自らが探究する能力と態度を養い、その中で人として世の中を生きていく上で必要となる基本的な理念を身につけていきます。それはまさに、潜在能力を顕在化し、能力を「力の蔵(著書より)」に蓄積する作業そのものといってよいでしょう。
文化祭に力を入れていることも、堀川高校の特徴です。準備に二カ月もかけるため、これについても当初は保護者の間に大学入試を心配する声も大きかったといいます。しかし、学びを求める姿勢(能力)が身についた生徒たちは、結果として、今回も取り上げられたように、受験に関する分野においても確かな成果を上げていきました。
●京都市教育委員会では、堀川高校の成功をパイロットケースに、全高校で改革を進めたそうです。11月8日の記事は、そうした地道な努力が実りつつあることを伝えてくれています。さて、今回は高校の奇跡を取り上げましたので、次回は陸上の非エリート校が、ある教師の着任で7年に13回日本一という中学校の奇跡を取り上げます。
※『能力とは何か どう発揮するか』(高木一三著/PHP研究所)